創業者対談 2017

創業者対談:代表取締役社長 相田和宏×専務取締役 笹波和敏

言語サービス事業に興味を持ったきっかけを教えてください。
成功する確信は最初からあったのでしょうか。

相田
私は、この事業を始める前は電機メーカーで海外営業をやっていたので、海外を回る機会がありました。その中で翻訳や通訳などの作業が結構あったんですよね。そういう仕事は世界中にあるんだろうなと思っていたので、マーケットの需要がすごくあると思いました。成功するかどうかは分かりませんでしたが、確実に需要はあると思ったので、しっかりと会社運営をやれば成功するだろうなという風には思っていました。ただ、必死にやってきた、ということが実際です。
笹波
私は、前職は国際ニュースや報道写真を扱う通信社にいたのですが、その当時、実は翻訳者になりたいと思っていまして、フリーで翻訳もしていました。その時に社長の相田さんと「会社を始めよう」という話になって、事業の1つとして「翻訳をやりませんか?」という話をしたのを覚えています。成功する確信ということですが、やればなんとかなるだろうとぐらいに考えていましたし、それ以外にも会社としてやっていく別のビジネスも考えていました。結果的には翻訳、通訳、映像翻訳などの言語サービスに特化してきた事が非常によかったと感じています。

お二人とも大学時代に英語サークルに所属していたということで、
英語を使った事業をしたいという思いもあったのでしょうか。

相田
二人の共通項を考えると、そこは英語かなと。
笹波
会社を始める時のミーティングなどで英語に特化したことをやろうね、という話をしていたと思います。

表参道に会社を構えている理由、こだわりは何ですか。

笹波
これはですね、単純な理由なんですけど、当時我々が住んでいた家から同じくらいの距離で、通勤の便がよかったということが1つ。それと、自分達が会社を起こすにあたって、色々と候補はあったのですが、表参道の通りには大きな立派なけやきの木があって、あと明治神宮からも近いということで、自然に恵まれた良い場所だという所のポイントが高かったと思います。
相田
同感です。

会社の規模が大きくなり、お二人の働き方は変わりましたか。

相田
私の場合は、創業当時は営業活動だとか売上をどうやって上げるかという事が大きかったですね。それが数年続きました。その後は会社の体制づくりですね。管理部門や間接部門だとか、色々な部門を充実させる事がそれからありました。最近はそれらの部門が整備されてきましたので、事業の売上を含めたさらなる事業の拡大ということで、これからマーケティングと営業活動、新規事業の開発にシフトしてきているところです。
笹波
私も、かなり変わってきたと思っています。創業当時は自分で翻訳の手配をしたり、原稿チェックをしたりであったり、現場で色々なサービスの進捗を管理していましたが、現在は管理業務も増えてきましたし、システム開発だとかマーケティング・コミュニケーションなどの部門も監督する業務も増えてきています。増えてきています、というかそれらが大きな比率を占めています。

自分の判断に迷うことはありますか。
あるとしたらどんなときですか。

相田
判断に迷うことはたくさんあります。しかし、社内の役員やスタッフ、関係者と相談をして、どういう選択肢が一番いいのかを最終的に決断するというところは、比較的スムーズにできるようになってきたと思います。しかし、やっぱり迷います。お客様についても社員についても、個人の価値観とぶつかってしまうような、何かを判断しなくてはならないことが起こりやすいので、それをどうやって、うまくお互いが納得できる形で決着をつけられるか、というところの判断が迷いますね。ただ基本的には、社会の通念や一般常識に照らし合わせて判断するようにしています。
笹波
私も判断に迷うことがしょっちゅうありますが、そこは社長の相田さんや、他の役員と相談しながら、一番いい選択ができるように心がけています。

「何かを判断をするときに企業理念を重視してください」ということを会社説明会の時にも聞いたのですが、
その理念は一番最初から掲げていたものなのでしょうか。

相田
比較的最初にできたものだと思います。今の形になるまでに少しずつ修正を加えてはいますが、根本的なところは初期の頃から変わっていません。
笹波
そうですね。大きく変わったところはありません。

高い品質のサービスとはどういったものだと考えていますか。

笹波
高付加価値サービスと言いますか、提供するサービスが社会や人々に役に立つような、付加価値があるものが、高い品質のサービスだと、またはその先にあるものだと考えます。翻訳にしても通訳にしても、翻訳者や通訳者ができる仕事をそのままお客様に提供するだけでは、我々の存在意義がありません。お客様からより多くの情報を引き出し、お客様にとって何がためになるのか、喜ばれるのか、お客様の仕事にプラスになるのかを考えた上で、我々のサービスに付加していくこと。それがサービスの品質を高めるのだと思います。現在翻訳業界では、低料金の翻訳サービスがどんどん増えてきています。しかし、我々は「安かろう悪かろう」ではなく、お客様にとってリーズナブルで、かつ、作業してくれる翻訳者さんや通訳者さんにも喜んで頂ける、関係者全てが満足できるようなサービスを提供していかなければならないと考えています。
相田
高い品質のサービス。我々の事業はサービス業なので、お客様あっての商売だと思うんですよね。ですので、お客様が希望しているもの、期待しているものにプラスアルファのご提案ができるかどうかという所が一つあるかと思っています。我々はこのサービスのプロなので、お客様よりも当然分かるはず、分かっていなければならないと思います。お客様よりも先を行って、お客様に色々とご提案する、そういうところまでできる事が、やはり品質の高いサービスにつながるのではないかと思います。

ちなみに数ある翻訳会社、通訳会社の中で、
ブレインウッズの強みやこの点が優れているという点はありますか。

相田
翻訳にしても通訳にしても、我々はやはり制作プロセスや実施プロセスを非常に重視しているので、安定したサービスのご提供ができていると思います。それは品質面でも、実際の実行力や料金の面でもなんですが、極端に高いとか安いとかではなくトータルでバランスの良いサービスができているのではないかと思います。

今後の機械翻訳事情についてどう考えていますか。
翻訳会社の在り方はどういった形になっていくと思いますか。

笹波
機械翻訳やAIなどの目覚ましい技術革新に伴い、翻訳が我々の日常生活の中に入ってきています。当然我々のお客様も、それらのサービスを使い、簡単なものはどんどん翻訳できて、量の翻訳もできるという事になっていくとは思いますが、その中で我々も、逆に機械翻訳のために原稿を整えるとか、機械翻訳の後に原稿を修正するといった需要も出てくると思います。また、必ず人の目と頭と手でやらないと、機械だけではうまくできないという事が今後もあると思うので、全てがオートメーションになるという事は、まだまだ先の話になると思います。ですので、我々は技術革新を通して、翻訳会社としてお客様のプラスになる高品質サービスを提供するといった立ち位置で仕事をやっていければいいと思いますね。また、今後もずっと翻訳サービスというものを我々はやっていくのだろうと私は考えています。
相田
実際はもうソフトウェアを使って翻訳をしている翻訳者も多いですし、そういう会社も出てきています。私の印象では、アジア圏は遅れているように感じていまして、アメリカやヨーロッパの方はかなり進んでいる感じがするんですよね。なので、日本を含めてアジア圏も、今後機械翻訳が増えていくと思います。お客様の方でソフトを導入してしまえば翻訳できてしまうので、翻訳会社がいらなくなってしまうのではないかと思ってしまうかもしれませんが、やはりどんなソフトウェアだとしても、将来AIがより活躍したとしても、最終的に文章を仕上げるとなると人間が行うところが大きいと思います。文章の最終仕上げや内容を確認していくということに、今後の翻訳会社の役割・在り方がシフトしていくのではないかと思います。トータルでソフトも使って翻訳をしつつ、仕上げの部分をより翻訳会社が企業やお客様に代わって仕上げていくと思いますね。

通訳業界の将来展望を教えてください。

相田
今、当社がやっている通訳サービスの業界は、会議通訳や同時通訳など、どちらかというとハイエンドな分野で、一般の「ちょっと英語ができますよ」という人ができるレベルのものではないですね。一方で簡単な通訳もありますが、それはお客様の方でできると思うんですけど、我々が今やっているところは中、上、更にハイエンドなところなので、色々な機械も開発されていっているとは思いますが、なかなか追いつけそうもないですね。それぐらい同時通訳者の技術は素晴らしくて、私は見ていてすごいなと感心しますね。

サッカーなどスポーツを見ても、外国人監督の言葉をすらすら通訳できる人はすごいですよね。

相田
本当に臨機応変に対応していますよね。なので、本当にうまい人たちというのは外国語ができる、できないとかの問題ではなくて、そこは既にクリアしていて、知識や経験なんですよね。色々な事を知っている。歴史的な事だったり、地理的な事だったり、時事問題であったり、ニュースとか色々な事を知っているから、それは機械にパっと乗り換えられないんじゃないかな。
笹波
私も同意見ですね。AIはどんどん発展するとは思いますけど、通訳者が持っている状況判断力や先読み力などの能力を持ったAIやその他機械が活躍できるまで発達するのはまだまだSFの世界なのかなと思います。

採用の際にどんなところを見ていますか。

笹波
当初、求人のプロフィールとして「明朗で責任感がある人」と載せてきたのですけれど、現在は、求める人材像として、「当社の企業理念に賛同・共感」「モラルとモチベーションが高い」「チームワークの良い」「専門知識・専門能力が高い」等、採用情報に掲載しています。そのあたりを見ています。また、明るくて、物事を自分事としてとらえられて、我々と一緒に仕事ができる人がいいですね。それと、お互い信用・信頼できるかどうかですね。お客様からも信用・信頼される人であるかどうかを見ています。
相田
営業職の場合は、お客様の所に行って好かれるかどうかが一つのポイントですかね。あと間接部門、制作部門などに配属予定の人については、物事を客観的に見て素直に受け入れられる人かどうか。あまりに先入観や既成概念が強すぎる人はちょっと違うかなと思うときがありますね。なので素直な方でね。素直な方が学ぶ力が強いと思うので、そういった方がいいかなと思います。

社員に求めるものは何ですか。

相田
やっぱり一番はチャレンジ精神がある人。日々仕事をしていると、大変な事があるじゃないですか。それに負けないで、更に新しいことにチャレンジして、どんどん前に進める人が一番いいですね。
笹波
私が考えるには、我々の行動指針ですね。信用・信頼から始まって、仕事を楽しむことができるか、そこをしっかり日々意識的に行動してほしいですね。やはり仕事で色々と大変な事がありますし、ストレスやプレッシャーを受けることがあるかもしれませんが、それにも負けずに行動して、仕事を楽しめるようにと自分で色々と工夫してやっていけるガッツのある人ですね。

翻訳者・通訳者に求めるものは何ですか。

笹波
我々はお客様から大切な案件を預かってお仕事をさせていただいておりますので、品質や納期などの約束を守る、という事ですね。あとは自分で品質を高められるように、日々努力・勉強をしていくという、そういったことが求められていると思います。
相田
プロとしての意識ですかね。プロとしてどういう仕事をするべきなのか、したらいいのかを日々考えている方は良いなと思います。あとやはりスキルアップを常にされている方だといいなと思います。年々、若い世代の人たちが出てくるわけで、自分達のスキルを毎年毎年上げていかないと相対的に落ちていってしまいます。やはり選ばれる翻訳者・通訳者という事でスキルアップを継続してやっている方がいいですね。

社員旅行など、ブレインウッズでは社内交流イベントが色々ありますが、
今までで一番の思い出はどんな事でしたか。

相田
たくさんあるんですけど、今出たように社内旅行を毎年秋にやっていて、楽しいですね。毎年温泉に行っています。伊豆に行ったり伊勢神宮に行ったり、草津に行ったり、鬼怒川に行ったり、甲府に行ったり、どれもとても楽しかったです。
笹波
そうですね。相田さんと同じで私も楽しんでおります。最初の社内旅行は京都に行きまして、話はずれるんですけど、京都に支店を設けられたというのはよかったです。社内旅行以外でも京都に行く用事ができました(笑)。私は去年から自分の子どもを連れて参加していますが、それも楽しみの一つです。社内旅行以外にも、管理部の方で色々と社内のレクリエーションイベントを企画してくれていますので、課外活動でも楽しい事がどんどん増えていくと思います。

10年後のブレインウッズ、
目指す姿や将来に向けての取り組みはどういったものでしょうか。

笹波
ブレインウッズは「10年後、売上規模10倍」を目指してこれまでずっとやってきていますので、今の10倍となると社員も4,5百人規模になっているのではないかと思いますが、社屋も大きくなりますし、海外にも支店をいくつか設ける予定です。今現在のブレインウッズよりもどんどんパワーアップしているのだろうと考えています。
相田
今現在非常にいい社員の方がそろってくださり、皆さんいい仕事をしてくれていて、かつ会社の方針にもよく協力してくれる人ばかりなので、とても良い環境にいると思います。10年後目指す姿は、今いる若いスタッフが10年後10歳年を取り、そのときまた会社の目標を皆でさらに高めるというか、そんな事ができるチームであったら、会社であったらいいなと思いますね。今の若い人たちが次の目標を作れるように、彼等の育成をこれからさらに、しっかり行っていきたいなと思いますね。

今の段階でこういう事業をやってみたいなどのアイディアはあるのでしょうか。

相田
先程も話が出たんですけど、機械翻訳関係で、翻訳のやり方をもっともっと変えていくというのも一つあるかなと思います。あともう一つは、今はマーケットとして日本をメインにしてやっていますが、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど海外で事業をやっていきたいですね。まだまだ翻訳、通訳事業で発展できるんじゃないかなと思います。
笹波
加えて、コネクテッドサービスなど、インターネットやクラウドにつながっているサービスが、今どんどん増えてきているので、そういった分野で我々の多言語サービスをもっとお客様に提供するために、ネットやアプリケーションなどのそういったところのサービスと連携してやっていく事がもっとどんどんどんどんできていけたらなと考えています。

今後の会社の成長のために、やっていかなければならない事は何でしょうか。

相田
最近も話題になっていますが、環境と社会、それから企業統治、その3点について会社としてしっかりと取り組むことがさらに大事になってくると思いますね。今までもブレインウッズではそういうところを重視してやってきているので、大きくずれているという事はないと思いますが、今後さらにそのあたりを意識して、会社を発展させていくという事がとても大事なんだろうなと思います。あとは我々自身が企業理念をしっかりと維持して、社員の人たちに浸透させていくという事が大事かなと思いますね。
笹波
私の方で付け加えるとしたら、企業理念のミッションの一つ、「社員が、人生の夢を見い出し、積極的に参加したい企業になる。」を継続して実践していくということだと思います。スタッフの皆さんが楽しんで、ずっとこの会社で働きたいなと思える企業を作っていき、今の状況を維持しながら改善していければ、良い人が集まってくるのだろうと思います。
お問い合わせ