京都人の裏の顔
みなさまこんにちは。京都支店の荻野です。
さて。私は京都に居ります。
良いところに住んでいらして羨ましい、と東京の方から言われることもしばしばありますが、そうですね、落ち着いた良い町ですね、と素直に答えるべきか、いえいえ、そんなこともないですよ、と謙遜しつつ正直に答えるべきか、私にはいつもちいさな葛藤があります。
関西にお住まいの方々には、幾分か首肯していただけるのではないかと思いますが、住めば都、されど京都。なのが、この京都という町です。
しかしながらディープな京都の話はまた別の機会にとっておくとして、今回は「住む京都」のとっておきをご紹介します。
なんといっても地元の人が圧倒的に多い土地柄からか、市街地を含むほとんどの地域で町内会がしっかり機能しています。
京都に移り住むということはすなわち、その地域の町内会に入ることを意味します。もちろん入会拒否も可能ですが、となると町内の行事に軒並み誘われませんし、「変わってる」と噂を立てられますので、精神的にかなりタフでないと難しいといえます。
町内の行事は、主たるものでいえば
- 地蔵盆(8月末)
- 学区民運動会(10月の体育の日前後)
の2つです。
地蔵盆とは、日々子どもの通学を見守ってくれている地域ごとのお地蔵様をお祀りする行事で(京都は町のあちこちで道祖神が祀られており、道祖神信仰と地蔵菩薩信仰が結び付いたものといわれています)、お地蔵様の前にお供え物を並べてお参りし、その日は子どもたちのためにいろいろな催しを行います。
まず会場設営。子どもたちの提灯を提げ(京都では地蔵盆用に、子どもの名前を入れた提灯を各家庭で作ります)、子どものための遊び場を作ります。家の前の道路を使いますので、地蔵盆期間中はほぼ「通行止め」となります。
朝は朝食用に町内のパン屋さんの作るパン、お昼どきには子どもたちの大好きなハンバーガーが配られます。おじいさんたちは氷商で仕入れた氷で作るかき氷を振る舞ってくれます。飲み物はビールを含めて飲み放題、宵に近づくと、こんどはいつも通う小学校が舞台となった「お化け屋敷ツアー」があり、そこから帰ってくると夜の宴会が待っている、という具合です。
子どもたちにとっては夏休み中の楽しい1日になり、大人にとっては、この日をきっかけにご近所さんの知り合いが増え、住み心地もぐっとよくなるという、町内交流の貴重なイベントといえます。地域の防犯にもつながりますし、本当に良い機能を兼ね備えているといえます。
もう1つのイベント、学区民運動会。
京都では知る人ぞ知る常識なのですが、京都市内、区ごとに分かれる地域の中でさらに、「学区」という区分が存在します。この学区単位で、町内の体力自慢が集まり、大人も子どもも一緒になった運動会が開催されます。この運動会、私の住む地域に限らず、どの地域でも地元のみなさん、ものすごく気合いが入っています。運動会前になると、ジョギングをしているお父さんたちの姿をちらほらと見かけます(それもマラソンランナー姿)。「本気やん!」と毎年心の中で突っ込んでいるのですが、それくらいみなさん本気です。
とくに「綱引き」「町別対抗リレー(10代~50代のメンバーで構成)」は上位に入ると得点が高いので、本気の地域は事前に勝てるメンバーを選出し、早々に家々を回って打診をしているようです。
参加賞から入賞賞品まで全て地域のもので用意され(実用的なものが多いので助かります)、
特賞にいたっては地域にあるフレンチレストランのディナー無料券(1万円~)などなど、なかなかに豪華です。尚、優勝~3位入賞の町には表彰状が授与され、その町内の掲示板に1か月ほど掲示されていたりします。「どや!」てなもんですね。
ちなみに、昨年は私の住む町内が優勝しました。尚、私はこの時期決まって風邪を引くので参加していません(笑)。
それにしてもこれって、京都人の別の顔だったりしませんか?
「はんなり」なのは実は表の顔なのです(笑)。
ここまで書いて、京都人のどなたかにきっと怒られる!とちょっとこわくなりましたが、所詮よそ者のたわごととして、流していただければ幸いです。